「プロローグ」

11月のある晩・・・・・・・・・。高木はベランダからまだ満月になりきれていない不完全な月に己の姿を重ねながら見ていた。11月だというのに風の中に冷たさはない。異常気象なのか?だが人は得てして遥かな未来の大事を憂うより今自らが置かれている日常の不安に精力を注ぐものだ。

高木の憂鬱の原因は無論、地球の未来についてではなかった。劇的な敗北を喫したあのアスレ戦である。初めて監督として采配を取った試合で選手へのサインが行き届かずに敗北・・・・・。監督として最悪の負け方である。

「クソ、一体俺に監督として何が欠けているんだ!」

高木はつぶやいた。自分は監督失格なのか・・・・・・・?その思いが高木を弱気にさせた。と同時に日常の瑣末な問題も大きなものに感じられるのである。

免停、実家からたびたび打診される見合い話、マルチ商法・・・・・・・・・・。

・・・・・駄目だ、駄目だ!たかが一敗しただけじゃないか!

高木は弱気になる自分に言い聞かせた。

自分はもう若くない。今年で25になる身である。監督なんて出来るのはもう人生最後かもしれない・・・・・・・・。あの試合の俺は甘かった。選手がやってくれるに違いないと甘えていた。あの敗北は俺の甘さだ。甘さはほころびを生み、敗北はほころびの間からまるで網戸を抜けて人の血をすする蚊のように侵入するのだ・・・・・・・

高木は空を見上げた。高木の瞳に最早迷いはなかった。







11月6日  スラッガーズvs鴨川キャッチボールズ@御所

「そして伝説へ・・・・・・・」

次の日、御所にてスラナインは我目を疑った。

↑スラナインを恐怖に陥れる激励する高木

あんたは誰だ!!?( ̄□ ̄;)

そう、これこそが高木の生まれ変わった姿であった。ってか、変わりすぎ?

20xx年、スラは高木の炎に包まれた・・・・・・・・・・。この日、高木の恐怖政治がフィールド上を支配した。

この日の相手は鴨川キャッチボール部。スラの人々に審判の恐ろしさを知らしめた恐怖の集団である。

先攻はスラ。しかも先頭打者は高木。高木はグワハハハと高笑いをあげながらおもむろに服を脱ぎ始めた。


↑見事なモヒカン筋肉に驚きを隠せないスラナイン



これは期待できるかもしれん!!みながそう思った。そして・・・・・・・


カキーーン

見事な快音を残して打球はファーストのミットに吸い込まれていった・・・・・・・・・。高木は凡退したにもかかわらずグワハハハと高笑いをしながらベンチに戻った。その後、筋肉の割りに役に立たなかった高木に代わり、後続の活躍により2点をスラは先行した。


この日の先発は伊藤。高木監督は伊藤に作戦を出す。

「グワハハハ、そうだ投げろ!!」



最早、高木が正気を失っているのは誰の眼にも明らかであった。高木の変貌振りに伊藤が冷静でいられるはずもなかった。伊藤は乱れた心のままマウンドに上がり、2者連続死球

これにはさすがの鴨部(勝手に略)ナインも

↑怒りのあまりに「何をするだァーーー!!」と憤る鴨部のジョナサン

ちょっと方言が混じるほど興奮していた。伊藤はこの後の打者に四球を与え、自ら「もうダメポ」と言ってマウンドを降りる。この絶体絶命のマウンドを引き継いだのは期待の新人、癒着大好き清水である。清水はこの場面を2失点でなんとか切り抜けた。

そして・・・・・・・・・・2回の伊藤の打席でソレは起こった!!

「ポナペティ(たっぷり召し上がれ)」

↑絵に描いたようなデッドボールを受ける伊藤



鴨部の投手が投じた球は伊藤を直撃。                                                             リ タ イ ア

伊藤(スタンド名・ゲイズフェロモン<能力・危ないおじ様を惹きつける>)、再起不能

悲しみに明け暮れるスラナイン。だが悲しみの涙が枯れる間もなく非情にも試合は進み、6回の時点で9−4とスラがリードしていた。ハラボテマッスル高木がエンタイトル2ベース、ゾンビ屋礼二の3ベースヒットなどで追加点をたたき出し、癒着っ子倶楽部・部長の清水が一回の失点以外は5回の2失点のみで抑える好投を続けていた。
ここで高木監督が動いた!!

↑投手交代ひとつにいちいち猛る高木

好投を続ける清水に変えて誰が登板するかと思いきや・・・・・・・・「グワハハハ、投手・石橋!!」

そ、そりゃないぜぇぇ〜〜( ̄□ ̄;)

石橋はやる気満々ソング、「完封いっちゃう〜〜?」などと言っている。だがスラナインは不安におしつぶされそうである。というのも、スラナインは石橋の脅威の能力を恐れていたのだ!!

説明しよう!!石橋は一般的な知能があれば理解できることを通常ではありえない解釈をすることで、コンマグラップラー秒だけ時を止めることが出来るのだ!!(ただし自分も動けない)



↑MMR(ムラオ・ミステリー・リサーチ)のキバヤシ隊長が語る石橋の秘密

入れ込む石橋に高木は一言アドバイスを送る。

↑フンフンディフェンスで一塁を守っていた高木のナイスアドバイス

このアドバイスが効いたのか石橋は3回を5失点で切り抜け、試合は11−9で辛くもスラが逃げ切り勝利を収めた。

試合後のアンケート(視聴者が選ぶコスメランキング)でスラナインは
負けたら石橋のせいだと思った・・・・8人

と答えた。


最後に監督のインタビューを載せてこのレポートを終えようと思う。
見事な勝利でしたね、高木監督。とてもクレイジーでエキサイティングなゲームだったわ!
HAHAHA!ありがとう、キャシー!!僕の采配でチームが勝利するなんて明日は赤い雨(ベルリンの)でも降るんじゃないか?(一同爆笑)
そうね、とってもクレイジーね!ところで途中好投の清水を降ろして石橋を起用しましたが・・・・・・・・
あの時は本当に駄目かと思いました。今、僕がこうして愛する家族とともに幸せな生活を出来るのもレスキュー隊のみなさんのおかげだよ。もう二度と冬山に一人で登ったりしないよ!!
奇跡の生還ね、素晴らしいわ!!
ところで聞いてくれよ、キャシー!この前素晴らしい商品を買ったんだ!その名も「メイキンググラップラー」!
何かしら?とても興味深いわ!
この商品さえあれば誰でも手軽に地下闘技場戦士(グラップラー)のような肉体を手に入れることが出来るのさ!!実際使ってもらったモニターの映像を見てみれば一目瞭然さ!!

(使用前)                              (使用後)  
      
まぁ!!凄いわ、ボブ!!顔つきまで凛々しくなっているように感じるわ!!エポックメイキングな商品ね!!
HAHAHA!!キャシーもこの商品を使ってそのたるんだ体を引き締めたらどうだい?この雌豚が!!
HAHAHA!!ボブ、後で尻穴に名刺を100枚詰め込んであげるわ(ケツメイシと呼ばれる儀式)!!
ひぃぃぃ!!

  スラ11−9鴨

高木 一飛 四球 2ベース(エンタイトル) 1ゴロ 四球
中川 四球 3ベース 左飛 犠牲フライ 四球
杉本 2ゴロ 内安 四球 3ゴロ 中飛
清水 2ベース 安打 2ベース 三振 遊ゴロ
笠原 2ベース 中飛 四球 内安 (試合終了)
石橋 三振 フライ 犠打 1ゴロ
藤本 中前安 ヒット 三振 四球
伊藤 死球 三振 ヒット ヒット
向井 三振(振り逃げ帰宅)
藁谷 投ゴ 1ゴ 三振 三振
村尾 投ゴ 三振 2エラー 三振
borde カ